現在、日本競馬の中心となっている芝の中距離レース1700m~2000mには、天皇賞秋や大阪杯の古馬GⅠと皐月賞、秋華賞などの3歳GⅠレースが含まれており、世界的に見てもGⅠレースが数多くプログラムされています。
世界的な傾向として、一昔前よりも距離の短縮化が進む競馬界では、マイルレース(1600m)と2000m級のレースが真の実力決定戦となっています。
日本の中距離レースに最も強い種牡馬と言えば、誰でも簡単に思い付くのはディープインパクトです。
そのあとのランキングは、ハーツクライ、ハービンジャー、キングカメハメハ、オルフェーヴル、ジャスタウェイ、ルーラーシップと続いていきます。
ディープインパクトとキングカメハメハの強さは馬券を買う人ならすでにご存じでしょうし、すでに2頭ともこの世におらず数年後には産駒が姿を消すので、今回は、ディープインパクトとキングカメハメハ、この2頭以外の上位3頭と今後が期待される馬を検証したいと思います。
ダート短距離に続く競馬の血統学ファイル記事です。
https://baken-blog.net/keiba-blood-dirt

いただきます。
Contents
競馬血統学ファイル④ ~ 芝中距離種牡馬No.2・ハーツクライ
まずは、日本の厩舎に所属している馬で唯一、ディープインパクトに先着した実績のあるハーツクライです。
ディープインパクトが亡くなったとなると、やはりハーツクライの話をしないといけないよな。ハーツクライ信者の俺としては。
ハーツクライは
「ディープインパクトに国内で唯一土を付けた馬」
である。ディープインパクトに先着した日本馬はこの馬しかいない。改めてそれを主張したい。— あらきムラムラ (@arakissunne) July 30, 2019
ハーツクライとはどんな馬?2000mから2400mでは抜群の強さを発揮!
ダート中距離でも紹介したハーツクライは、本来は芝の活躍馬の方を数多く出しており、キングカメハメハが種牡馬を引退してからは種牡馬ランキング2位を確保している日本有数の種牡馬です。
父はサンデーサイレンスで母の父トニービンと2000mから2400mに無類の強さを発揮する種牡馬で、代表的産駒には、種牡馬としてすでに重賞ウイナーを輩出しているジャスタウェイやジャパンカップを制覇し2019年一杯で引退、種牡馬となったシュヴァルグラン、ダービー優勝馬で種牡馬になったワンアンドオンリーがいます。
種牡馬としての賛否は分かれるかもしれませんが、ジャスタウェイが全盛時に見せたパフォーマンスは当時間違いなく世界一だったと思っているので、並外れた成長力は必ず産駒に受け継がれるはずです。ハーツの後継も増えたことで盲点になりがちなので、しばらく注目しておきます。 pic.twitter.com/ZH3ViokRXL
— shige (@mission_shige) February 7, 2020
シュヴァルグラン。
外枠に泣かされ続けた有馬記念も終わってみれば4年連続出走で6着、3着、3着、6着。ラストランも無事に走り切り、偉い馬です。
着実に強くなって、イギリスではハーツクライの夢の続きを見せてくれました。
本当にありがとう。
19年有馬記念 pic.twitter.com/B68t3U8vAJ— ブロコレさん (@heartscry_2001) December 22, 2019
シュヴァルグラン
最後のきみと思い出と共にいこう pic.twitter.com/ytjlUvnzsn— sleep (@horror_tripp) December 21, 2019
ワンアンドオンリー号!横山典Jそして関係者の皆様ダービー優勝おめでとうございます!(^-^)/ pic.twitter.com/jjUNbAIs9y
— エグチマコト (@egusanman) June 1, 2014
ハーツクライ産駒の傾向。長い直線コースで威力を発揮。
全体的には年齢を重ねた方が強くなる傾向がありますが、最近は、2歳の早い時期から活躍する馬が増えて、ディープインパクト亡き後のサンデーサイレンス系種牡馬の中核をなしています。
マイルから長距離重賞まで幅広い範囲で活躍馬を出していて、スパッとキレる末脚よりも持続力のある息の長い脚を使うタイプが多いようです。
東京競馬場のような長い直線があるコースで4コーナー立ち上がりから直線をフルに使った差し脚で勝ちきるイメージです。
跳びが大きな馬が多く時計の掛かる馬場よりも良馬場の高速馬場での勝負が向いています。
小回りコースでは結果を残せないことの方が多いようです。
東京10R 早春ステークス
◎本命トラストケンシン
東京×距離延長×外国人騎手
はハーツクライ産駒の十八番。東京芝2400m以上は(2-1-1-2)
馬券外になった2回もGⅡ戦でのもの。
土曜日の芝傾向からもハーツクライ産駒に向く馬場。前に行ける位置取りをマーフィーが取るか。この臨戦JCの時も確か…。 pic.twitter.com/0ARdOslN8e
— imachan@勝利請負人 (@imachan8gallop) February 2, 2020
競馬血統学ファイル⑤ ~ 芝中距離種牡馬No.3・ハービンジャー
次に紹介するのは、イギリスの競馬で活躍したハービンジャーです。
ハービンジャーとはどんな馬?クイーンエリザベスG1で11馬身差も離して圧勝した伝説の馬!
ノーザンダンサー系種牡馬デインヒルの血を持つダンジリが父であるハービンジャーは、現役時代にイギリスで9戦6勝の成績を残し引退レースとなったキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスGⅠで、11馬身の圧勝劇を演じてイギリス競馬史にその名を刻みました。
引退が骨折によるものでデビューが3歳と遅く、2400m級のレースでしか結果が残せなかったため、日本に売却され種牡馬となりました。
【新馬戦】
社台が推定5億円程度で購入したハービンジャー産駒が初勝利。同馬はキングジョージで11馬身差で圧勝し活躍が期待されてが骨折引退。初勝利馬は、スワーヴジョージ(セリ落札額6600万円)日本競馬の高速馬場に対応できるか注目される pic.twitter.com/JfGCaqoJVq— びぃぜっとぉ (@bz1988921lmlove) July 21, 2014
代表的産駒にはマイルチャンピオンシップ優勝のペルシアンナイト、有馬記念を3歳で制したブラストワンピース、牝馬ではエリザベス女王杯優勝のモズカッチャン、ヴィクトリアマイルのノームコア、秋華賞とイギリスGⅠナッソーステークスを勝っているディアドラがいます。
きょうの京都競馬場での撮影分から1枚〜マイルチャンピオンシップを勝ったハービンジャー産駒・ペルシアンナイト。 pic.twitter.com/CzFJXL2wQ2
— RINOT (@rinotsuji) November 19, 2017
181223 中山11レース 有馬記念(GⅠ)
ブラストワンピース 池添謙一
ハービンジャー×ツルマルワンピース(キングカメハメハ) pic.twitter.com/8IKrxloCe8— kiyo (@kiyo_makarios) December 25, 2018
きょうの競馬・撮影分より〜深秋の淀の風物詩、エリザベス女王杯を制したのはモズカッチャン。自身とオーナーにGⅠ初勝利をプレゼントすると共に、鞍上のミルコ・デムーロ騎手も同競走連覇を達成。更に父*ハービンジャーも牝馬GⅠ連続制覇の快挙でした。
関係者のみなさま、おめでとうございます! pic.twitter.com/1pXvYOcHGl— RINOT (@rinotsuji) November 12, 2017
ハービンジャー産駒の傾向。中距離で荒れた馬場だと力をフルに発揮。
ノーザンダンサーのクロスを持つハービンジャーはスピードとパワーを併せ持ち、短い距離よりも中距離またはクラシックディスタンスで高い能力を発揮するタイプです。
速すぎる馬場やスローペースでの末脚勝負は苦手のようですが、ワンペースでの雪崩れ込みや時計の掛かる馬場での踏ん張り勝負には強みを発揮します。
開幕週の馬場では差しが決まらなくても、適度に馬場が荒れてきたときにはその力をフルに発揮します。
レース後の厩舎から1コマ。
レース後はリラックスムードでした。
ハービンジャー産駒初のGI制覇。
3着のモズカッチャンもハービンジャー産駒。力のいる馬場に向いてるのですかね!#ハービンジャー #ライツェント #ルメール #Deirdre pic.twitter.com/mhlIRCbv5Y
— Hiroki Yamanaca (@Hiroki_Yamanaca) October 15, 2017
【有馬記念】レイデオロ2着敗退!ルメール「今日はハービンジャーの馬場でした」 https://t.co/HGAPjR42iq pic.twitter.com/KTxiXmjz1N
— 競馬ニュース速報けいばおー@相互フォロー (@KeibaKingBBS) December 23, 2018
競馬血統学ファイル⑥ ~芝中距離種牡馬No.4・オルフェーヴル
次は、G1レース6勝の名馬・オルフェーヴルです。
オルフェーヴルとはどんな馬?クラシック三冠を制した歴史に残る名馬!
2005年のディープインパクトに次ぐ史上7頭目となる牡馬クラシック三冠を制した有名馬です。
菊花賞
2005年 – ディープインパクトと武豊騎手 (クラシック三冠達成)
2011年 – オルフェーヴルと池添謙一騎手 (クラシック三冠達成) pic.twitter.com/Nsks33Upxb— Horse Memorys (@horse_memorys) October 17, 2018
🐴オルフェーヴル
史上7頭目の三冠馬
金色の暴君🐴阪大の逸走 凱旋門の斜行などエピソード数えきれず
重賞勝ち順に
スプリングS🐴皐月賞🐴日本ダービー
神戸新聞杯🐴菊花賞🐴有馬記念
宝塚記念🐴フォワ賞(仏)🐴大阪杯
フォワ賞(仏)🐴有馬記念
凱旋門賞2着2回🐴通算成績21戦12勝
海外4戦2勝 産駒好調🌸 pic.twitter.com/aYulcMzRZq— 桜花放神 Sacre de lumiere🌸燦々轟華絢爛百花斉放🌸毎週火曜水曜はお休みします🌸 (@hyaxtukaryouran) April 7, 2020
皐月賞、ダービー、菊花賞、宝塚記念、有馬記念など長距離で怒涛の結果を出しているオルフェーヴルですが、その産駒は芝の中距離でも上位にランクインしています。
父がサンデーサイレンス系のステイゴールド、母の父はメジロマックイーンという血統からスピードよりも持続力やパワーに優れた産駒が多いようです。
代表産駒は、皐月賞馬のエポカドーロやエリザベス女王杯、大阪杯などGⅠ3勝のラッキーライラックがいます。
皐月賞は現地へ応援に行って見事優勝🙌
クラシック2冠が掛かった日本ダービーは応援に行けず2着😢
これは菊花賞応援しに行くしか‼️✊父オルフェーヴルと共に菊花賞馬へ‼️
10月21日(日)
京都競馬場 芝 外回り 3000m#エポカドーロ#オルフェーヴル#菊花賞 pic.twitter.com/yDCSePIgDu— カワノフ (@0502kawano1) August 16, 2018
あのオルフェーヴルの娘だもんな。
2019/11/10 15:56
Kyoto Racecourse
ラッキーライラック&クリストフ・スミヨン
(エリザベス女王杯) pic.twitter.com/n6zHo8qgTh— Akihiko Takeda. (@Aki_piko) November 10, 2019
オルフェーヴル産駒の傾向。乗り難しいところもある。
オルフェーヴル産駒で強くなっている馬は、馬体が大きく古馬になっても馬体重が増えて力強さが増して行きます。
ただ成長力は豊かでも2歳から仕上がりが早くて活躍する馬は、なかなか見当たらないため、勝ち上がり率が低くなり生産者には敬遠されがちになっているのが現状です。
芝、ダートを問わず息の入りやすい距離や展開になった時は、その強さを発揮しますが高速馬場での末脚勝負ではキレ負けします。
重馬場は比較的上手くこなしますが、気性の悪い馬も多く乗り難しいと言われ事が多いようです。
買っても敵に回しても安心できないオルフェーヴル産駒。思いつく特徴は身体能力が高い・我が強く操縦性が難しい・ハミ受けが難しい・ダートや荒れた芝もこなす・ディープの軽さや瞬発力はない・続けて好走しない・父に似て栗毛が美しい・尻尾に力を入れて走る・テンションが高いなど。仲良くしたい(^^)
— 山田理子(競馬ブック) (@rikobook) November 10, 2019
芝中距離レースで好成績を残している意外な種牡馬とは?ジャスタウェイとキズナに注目!
意外と言えるかどうかわかりませんが、今後、ディープインパクトやキングカメハメハに変わって、芝中距離レースでランキング上位を争いそうな馬に、ハーツクライ産駒のジャスタウェイと新種牡馬として登場してすでに多くの重賞勝ち馬を出しているキズナがいます。
ジャスタウェイとはどんな馬?世界ランク1位に日本馬として初めてランクイン!
ジャスタウェイの父は、上記のとおり、有馬記念とドバイシーマクラシックを勝利したサンデーサイレンス系のハーツクライです。
母の父はアメリカ産で日本への持ち込み馬が重賞を勝つなど日本の芝に適性のある種牡馬ワイルドアゲインです。
ジャスタウェイは、ドバイデューティフリー(現在のドバイターフ)、天皇賞秋、安田記念に勝利し種牡馬となりましたが、天皇賞秋では女帝ジェンティルドンナを4馬身、ドバイDFでは2着馬に6馬身差、従来タイムを2秒以上縮めたタイムで優勝し世界ランク単独1位に日本馬として初めてランキングされました。
【快挙】ジャスタウェイ、年間世界1位http://t.co/YNOV3SMpI0
日本調教馬の年間総合1位は初めて。2位も日本馬のエピファネイアで「ワンツー」達成となった。 pic.twitter.com/Pnf4fYPkxE
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 21, 2015
ジャスタウェイ産駒の傾向。良馬場得意で高速馬場でも十分対応。
初年度産駒の2019年に、ロードマイウェイがチャレンジカップGⅢを勝利して、産駒の初重賞制覇が達成されると、アウィルアウェイがシルクロードS、エーポスがフィリーズレビューを勝ち、短距離線から長距離戦(ヴェロックスが菊花賞3着)まで幅広く活躍馬を出していて、今もっとも勢いのある血統となっています。
京都11R シルクロードS GⅢ 芝1200
勝ち馬 アウィルアウェイ×川田J
大外から目の覚めるような末脚で初重賞制覇!ジャスタウェイ産駒重賞2勝目になりました!
次は桜舞う中京。GⅠの舞台へ。 pic.twitter.com/R9jBwkBre6
— Arata (@raracame15c) February 2, 2020
フィリーズレビューを制したのはエーポス。ジャスタウェイ産駒は重賞3勝目。北出成人調教師は2015年セントウルS(アクティブミノル)以来の重賞勝利。
— Shutaro (@Billage_Shim) March 15, 2020
産駒には道中は脚をためて直線で爆発させ、一気に突き放す父親ジャスタウェイ似のタイプと4コーナーから捲るように上がっていって、じわじわと伸びて差し切る祖父ハーツクライ似のタイプ両方が存在し、適応距離といい脚質タイプといい、自在さがジャスタウェイの売りなのかもしれません。重馬場もこなしますが、やはり良馬場が得意で高速馬場でも十分対応出来ています。
キズナとはどんな馬?2013年のダービー馬!
キズナ。
大好きな武豊騎手に
日本ダービー5勝目を
プレゼントしてくれた大好きな馬。
ディープの息子で
ディープ以来の制覇。
あのウイニングランは
涙がこぼれました。
一生、忘れない。
次はキズナの息子で
ダービー制覇が夢ですね。。 pic.twitter.com/wggnQn34kH— hiro.s (@yuirinomilky) September 21, 2015
ディープインパクト産駒で種牡馬になった馬は数多く存在しますが、父の後継馬と明確に言える種牡馬は、残念ながら出現には至っていません。
その中で初年度産駒から活躍馬を多数だし、後継馬最有力に名乗りを上げだのがキズナです。
GⅠ勝利は、ダービーのみですが、母系はビワハヤヒデ、ナリタブライアン、ファレノプシスなどの名馬を送り出した血統で、その良血から引退後も種牡馬として期待されていました。
その期待に応えるように函館2歳Sのビアンフェ、京成杯のクリスタルブラック、チューリップ賞のマルターズディオサなど重賞を制覇しクラシックでも活躍しそうな産駒が出ています。
【 #皐月賞 枠順】
福永騎手クラシック完全制覇へ!コントレイルは1枠1番
昨年猛威の名手を鞍上に迎えて!サリオスは4枠7番
一冠制覇で世代の旗手へ名乗り!サトノフラッグは3枠5番
大舞台で輝き放つ人馬のキズナ!クリスタルブラックは6枠11番※無観客競馬https://t.co/IDZLvhWdlc pic.twitter.com/L40lamXEmG
— netkeiba (@netkeiba) April 16, 2020
マルターズディオサとクラヴァシュドール
良いライバル関係になりそうな青鹿毛ガールズ pic.twitter.com/dj3w5r8d9k— sleep (@horror_tripp) April 11, 2020
キズナ産駒の傾向。先行・好位の位置取りで実力発揮。
初年度産駒しかいないため、まだまだ特徴は掴みにくいのですが、ディープインパクトやキズナのようなキレる末脚を武器に勝ち上がるイメージよりも、先行して振りきったり、好位で折り合って差し切るなど優等生的なレース運びが目立ちます。
重馬場も苦にする産駒は少なく、ダートでも勝ち上がる馬が出るなど、馬場状態やコースを問わない産駒が多いようです。
今後はより良血の繁殖牝馬との配合が考えられるため、馬の質が上がると推測できます。
芝中短距離レースは、血統を見極めた馬券で勝負!
現在、芝のマイル戦以上のレースでは圧倒的な強さを見せるディープインパクト産駒は、数年後にはターフから去ってしまい、その後継種牡馬によって種牡馬ランキングが構成される事になりそうです。
ディープインパクトに変わって活躍馬を多数出すロードカナロア産駒は、距離延長を苦にする産駒が多いようで、今後のクラシック路線では他の馬が台頭する可能性が高いでしょう。
ですが、ここ2~3年は、やはりディープインパクト産駒を中心に馬券を組み立てることが、的中の必勝法と言えそうです。
これからのG1レース予想の参考になれば幸いです。ありがとうございました。